夢のかけら
商人はわたしの旅についてきた。
夢のかけらをひとつずつ、わたしのリュックに詰めながら。
わたしのリュックはどんどん重たくなっていく。
その重さは夢に近づいたしるしなの。
歩いていく、歩いていく。
夢のかけらを背負いながら。
どんどん体は重たくなっていく。
心地よかった背中の重みも、和らぐことなく増していき、今では少しだけ首が痛い。
でも大丈夫。この重みは、夢に近づいているしるしだから。
だから商人さん、わたし弱音なんか吐かないよ。
痛い痛い。
首も痛いし、背中も痛いし、足も痛いし、頭も痛いけど。
それでも進んでいくんだ。
わたしは負けないんだ。
だってわたしは、世界に必要とされているから。選ばれた人間だから。
痛い痛い。
首も痛いし、背中も痛いし、足も痛いし、頭も痛い。やっぱり痛い。
ほんの少しだけ休憩しようか。
ずっと歩いてきたんだもん。少しだけ。ほんの少しだけ。
その場に座り、重い重いリュックを地面に下ろす。
そっとリュックを開けるとそこには
なかった。
ないの、夢のかけらが。