カフェ・ブレイク
なっちゃんは、しれっと言った。
「お店終わるの、待ってますね。」
「……。」
返事に窮した俺は、無言でコーヒーを入れた。
なっちゃんは、うれしそうにコーヒーの香りと味を楽しんで飲んだ。
「美味しい。やっぱり全然違う。……ずっと恋しかったの。」
じっと俺を見る瞳がうるうると揺れていた。
目的語は、コーヒーなのか?俺なのか?
「ありがとうございます。また毎日でもおこしください。どちらにお住まいになるのですか?」
目をそらして、そう聞いた。
「決めてないんです。とりあえず、母の婚家に荷物を預けましたけど、住む気はありません。しばらく玲子さんとこに泊まらせてもらう予定です。」
玲子?
聞いてない。
「……うちにもすぐ入居できる部屋はいくつもありますけど。いかがですか?」
不機嫌を隠して笑顔でそう言ってみた。
なっちゃんはちょっと困った顔をした。
「ちゃんと仕事が決まるまでは無理ですよ。今さら母の婚家に頼りたくないし。もっと不便で小さい安いお部屋を探します。」
正直なところ、ムッとした。
なっちゃん相手に商売すると思ってるのか。
もっと俺に頼れよ。
何とでもしてやるのに。
てか、小門と玲子にも腹が立った。
俺に黙って、なっちゃんを囲い込むって、どういうことだよ。
俺は無言で一旦外に出ると、店のドアに掛けた「OPEN」のプレートをひっくり返して「CLOSED」にした。
店内の高校生が空気を読んで帰ってくれるのをひたすら待つこと10分。
嵐が過ぎ去った後、なっちゃんの前に座った。
「さて。聞かせてもらおうか?」
なっちゃんは、ちょっと困ったような顔をした。
「そう言われても、楽しい話は何もありませんよ?」
イラッとした。
「笑わせろとは言ってないけど?……しらふじゃしゃべれん?飲む?」
「……章さん、怖い。」
上目遣いのなっちゃんに、グッときた。
2年以上たっているのに衝動的に突っ走ってしまいそうだ。
無言で、戸棚からアルマニャックを出した。
「ワイン……じゃないですよね。何?」
スリムなボトルを見て、なっちゃんが聞いた。
「ダルティガロングのオルダージュ……これは10年ものか。アルマニャック。」
ラベルの数字を読みながら、ブランデーグラスを2つ出す。
惜しみなくトポトポと注ぎ入れた。
「こいつは厄介な奴で開くのに時間かかるからいっぱい入れるけど、ゆっくり飲めよ。」
「はぁい。」
そう返事しながらも、なっちゃんは早速口をつけた。
「味見。んん……固い?」
「だから、置いとけって。」
そう言いながら、俺も口を付けた。
「お店終わるの、待ってますね。」
「……。」
返事に窮した俺は、無言でコーヒーを入れた。
なっちゃんは、うれしそうにコーヒーの香りと味を楽しんで飲んだ。
「美味しい。やっぱり全然違う。……ずっと恋しかったの。」
じっと俺を見る瞳がうるうると揺れていた。
目的語は、コーヒーなのか?俺なのか?
「ありがとうございます。また毎日でもおこしください。どちらにお住まいになるのですか?」
目をそらして、そう聞いた。
「決めてないんです。とりあえず、母の婚家に荷物を預けましたけど、住む気はありません。しばらく玲子さんとこに泊まらせてもらう予定です。」
玲子?
聞いてない。
「……うちにもすぐ入居できる部屋はいくつもありますけど。いかがですか?」
不機嫌を隠して笑顔でそう言ってみた。
なっちゃんはちょっと困った顔をした。
「ちゃんと仕事が決まるまでは無理ですよ。今さら母の婚家に頼りたくないし。もっと不便で小さい安いお部屋を探します。」
正直なところ、ムッとした。
なっちゃん相手に商売すると思ってるのか。
もっと俺に頼れよ。
何とでもしてやるのに。
てか、小門と玲子にも腹が立った。
俺に黙って、なっちゃんを囲い込むって、どういうことだよ。
俺は無言で一旦外に出ると、店のドアに掛けた「OPEN」のプレートをひっくり返して「CLOSED」にした。
店内の高校生が空気を読んで帰ってくれるのをひたすら待つこと10分。
嵐が過ぎ去った後、なっちゃんの前に座った。
「さて。聞かせてもらおうか?」
なっちゃんは、ちょっと困ったような顔をした。
「そう言われても、楽しい話は何もありませんよ?」
イラッとした。
「笑わせろとは言ってないけど?……しらふじゃしゃべれん?飲む?」
「……章さん、怖い。」
上目遣いのなっちゃんに、グッときた。
2年以上たっているのに衝動的に突っ走ってしまいそうだ。
無言で、戸棚からアルマニャックを出した。
「ワイン……じゃないですよね。何?」
スリムなボトルを見て、なっちゃんが聞いた。
「ダルティガロングのオルダージュ……これは10年ものか。アルマニャック。」
ラベルの数字を読みながら、ブランデーグラスを2つ出す。
惜しみなくトポトポと注ぎ入れた。
「こいつは厄介な奴で開くのに時間かかるからいっぱい入れるけど、ゆっくり飲めよ。」
「はぁい。」
そう返事しながらも、なっちゃんは早速口をつけた。
「味見。んん……固い?」
「だから、置いとけって。」
そう言いながら、俺も口を付けた。