カフェ・ブレイク
なっちゃんの強がりが、逆に俺には痛々しく見えた。
「……逆。なっちゃんはもう子供じゃないし、誰の所有物でもないんだから、遠慮しなくていい。」
俺は、カウンターから出て、なっちゃんの真横に座り直した。
「まだ俺が好きなら、俺に手を伸ばせばいい。俺のところに来ればいい。……てか、何で、俺を通り越して玲子のとこなんだよ。何で、離婚してすぐ知らせて来なかったんだよ。何で、神戸まで来て逢いに来ないんだよ。」
みるみるうちになっちゃんの大きな瞳から涙の粒がこぼれ落ちた。
見てられなくて、俺はなっちゃんを抱きしめた。
……なっちゃんの涙で、じんわりと肩が熱く濡れていく。
「俺、怒ってるんだけど。」
なっちゃんの肩が背中が震えている。
「ごめんなさい……」
謝ってほしいわけじゃない。
泣かしたいわけでもない。
ただ……俺を頼ってほしかったんだ。
俺の存在を無視されて、なっちゃんにとってそんなものだったのかと淋しくなったんだ。
「仕事が決まるまで、うちにいればいい。」
その夜、俺はそう言って、なっちゃんを玲子(れいこ)のもとへ行かせなかった。
「でも玲子さんに何て言えば……」
困ってるなっちゃんを横目に、俺はその場で小門に電話をかけた。
「あ~。俺。今、なっちゃん確保。何か、お前ん家(ち)に泊まる予定らしいけど、それ、キャンセルって玲子に言っといて。」
電話の向こうで、小門がちょっと笑っていた。
『そうか。……でも、玲子が怒るな。』
「日中、行かせる。じゃぁな。」
『あ、古城!』
さすがに照れくさいのですぐに電話を切ろうとしたけれど、小門に呼び止められてしまった。
「なに?」
『……あまり虐めるなよ。明るく振る舞ってても傷ついて帰って来たはずだ。』
小門らしい思いやりに、俺は素直にうなずいた。
「そうだな。」
『じゃあ、また。よろしく伝えといてくれ。』
「ああ。またな。」
電話を切って、なっちゃんを見る。
「……確保って……私は犯人ですか?」
苦笑してるなっちゃんがかわいかった。
「迷子?迷い猫?確保じゃなくて保護だった?」
「もう子供じゃないです。」
頬を膨らませて反論するなっちゃんは、やっぱりいかわいかった。
……かわいいけど、子供だなんて思ってない。
2年の時を経て再会したなっちゃんは、すっかり「綺麗なお姉さん」だ。
「そうだな。年相応に歳くったな。」
わざとそんな風に言っては、なっちゃんの表情が動くのを見て楽しんだ。
「……逆。なっちゃんはもう子供じゃないし、誰の所有物でもないんだから、遠慮しなくていい。」
俺は、カウンターから出て、なっちゃんの真横に座り直した。
「まだ俺が好きなら、俺に手を伸ばせばいい。俺のところに来ればいい。……てか、何で、俺を通り越して玲子のとこなんだよ。何で、離婚してすぐ知らせて来なかったんだよ。何で、神戸まで来て逢いに来ないんだよ。」
みるみるうちになっちゃんの大きな瞳から涙の粒がこぼれ落ちた。
見てられなくて、俺はなっちゃんを抱きしめた。
……なっちゃんの涙で、じんわりと肩が熱く濡れていく。
「俺、怒ってるんだけど。」
なっちゃんの肩が背中が震えている。
「ごめんなさい……」
謝ってほしいわけじゃない。
泣かしたいわけでもない。
ただ……俺を頼ってほしかったんだ。
俺の存在を無視されて、なっちゃんにとってそんなものだったのかと淋しくなったんだ。
「仕事が決まるまで、うちにいればいい。」
その夜、俺はそう言って、なっちゃんを玲子(れいこ)のもとへ行かせなかった。
「でも玲子さんに何て言えば……」
困ってるなっちゃんを横目に、俺はその場で小門に電話をかけた。
「あ~。俺。今、なっちゃん確保。何か、お前ん家(ち)に泊まる予定らしいけど、それ、キャンセルって玲子に言っといて。」
電話の向こうで、小門がちょっと笑っていた。
『そうか。……でも、玲子が怒るな。』
「日中、行かせる。じゃぁな。」
『あ、古城!』
さすがに照れくさいのですぐに電話を切ろうとしたけれど、小門に呼び止められてしまった。
「なに?」
『……あまり虐めるなよ。明るく振る舞ってても傷ついて帰って来たはずだ。』
小門らしい思いやりに、俺は素直にうなずいた。
「そうだな。」
『じゃあ、また。よろしく伝えといてくれ。』
「ああ。またな。」
電話を切って、なっちゃんを見る。
「……確保って……私は犯人ですか?」
苦笑してるなっちゃんがかわいかった。
「迷子?迷い猫?確保じゃなくて保護だった?」
「もう子供じゃないです。」
頬を膨らませて反論するなっちゃんは、やっぱりいかわいかった。
……かわいいけど、子供だなんて思ってない。
2年の時を経て再会したなっちゃんは、すっかり「綺麗なお姉さん」だ。
「そうだな。年相応に歳くったな。」
わざとそんな風に言っては、なっちゃんの表情が動くのを見て楽しんだ。