カフェ・ブレイク
部屋に戻ると、なっちゃんはすぐにキッチンに立った。
「朝、出る前に炊き込みご飯を仕込んでおいたんです。お風呂にでも入って、ちょっと待っててくださいね。」
……さすが……でも、なっちゃんも忙しそうなのに、なんか、悪いな……。
風呂から上がると、すでに夕食が食卓に並んでいた。
炊き込みご飯も、茶碗蒸しも、タケノコの天ぷらも、そこらの割烹よりはるかにうまかった!
「めちゃくちゃうまいから、食事作ってくれるの、すごくうれしいんだけどさ、なっちゃんも忙しいんだろ?付き人って。無理しなくていいよ?」
なっちゃんは、にっこり笑った。
「無理するつもりはありません。付き人って言っても、下級生の娘役ちゃんなので入り出に付き添う必要はないんです。彼女の母校……つまり、私が先月まで働いていた学校関係者や保護者のチケットの取次のお世話をするだけなので、大丈夫ですよ。むしろ、玲子さんとおしゃべりが弾んで帰るのが遅くなっちゃうかも。」
「それはダメ。玲子なんかほっといて帰って来いよ。」
つい真面目にそう言ってしまった。
なっちゃんはキョトンとした。
「章さんと玲子さん、不思議な関係ですねえ。幼なじみ、なんですよね?なんだか、いちいち競い合ってるみたい。」
それ、当たってるかもしれない。
「そうかもな。昔は小門を取り合って、今はなっちゃんを取り合ってるわけだ。……いや、もっと小さかった時にも、おもちゃとか本とか取り合ってたかも。」
改めて苦々しく感じた。
「宿命のライバルですね、まるで。」
なっちゃんが楽しそうに言った。
「……単に、好みが似てるんだろ。」
何気にそう言ったのだが、なっちゃんはみるみるうちに赤くなった。
「なんだか、章さん、以前と違うみたい。あんまり、私を自惚れさせないでください。離れるのが、辛くなるから。」
……なっちゃんも困ってるかもしれないが、正直なところ、俺も困ってしまった。
確かに以前は、まだ少女だったなっちゃんを突き放すようなことばかり敢えて言ってた。
でも、今はすっかり大人の女なんだし、言葉を選ぶ必要もないと思ってたんだが……純粋培養のお嬢さまには刺激が強いのだろうか。
てか!
やっぱり、なっちゃん、期間限定のつもりなんだ。
……なんか……おもしろくないな。
言葉がダメだというなら、身体に刻み込んでやろう。
俺から離れられないように。
……35歳のおっさんのくせに、俺は年甲斐もなく、毎晩なっちゃんと戯れた。
毎日が充実して、楽しかった。
美味しい食事、気持ちいいセックス、なっちゃんの笑顔。
これがずっと続くなら、結婚も悪くない。
そんな風に思い始めるぐらい、俺はこの生活が気に入っていた。
「朝、出る前に炊き込みご飯を仕込んでおいたんです。お風呂にでも入って、ちょっと待っててくださいね。」
……さすが……でも、なっちゃんも忙しそうなのに、なんか、悪いな……。
風呂から上がると、すでに夕食が食卓に並んでいた。
炊き込みご飯も、茶碗蒸しも、タケノコの天ぷらも、そこらの割烹よりはるかにうまかった!
「めちゃくちゃうまいから、食事作ってくれるの、すごくうれしいんだけどさ、なっちゃんも忙しいんだろ?付き人って。無理しなくていいよ?」
なっちゃんは、にっこり笑った。
「無理するつもりはありません。付き人って言っても、下級生の娘役ちゃんなので入り出に付き添う必要はないんです。彼女の母校……つまり、私が先月まで働いていた学校関係者や保護者のチケットの取次のお世話をするだけなので、大丈夫ですよ。むしろ、玲子さんとおしゃべりが弾んで帰るのが遅くなっちゃうかも。」
「それはダメ。玲子なんかほっといて帰って来いよ。」
つい真面目にそう言ってしまった。
なっちゃんはキョトンとした。
「章さんと玲子さん、不思議な関係ですねえ。幼なじみ、なんですよね?なんだか、いちいち競い合ってるみたい。」
それ、当たってるかもしれない。
「そうかもな。昔は小門を取り合って、今はなっちゃんを取り合ってるわけだ。……いや、もっと小さかった時にも、おもちゃとか本とか取り合ってたかも。」
改めて苦々しく感じた。
「宿命のライバルですね、まるで。」
なっちゃんが楽しそうに言った。
「……単に、好みが似てるんだろ。」
何気にそう言ったのだが、なっちゃんはみるみるうちに赤くなった。
「なんだか、章さん、以前と違うみたい。あんまり、私を自惚れさせないでください。離れるのが、辛くなるから。」
……なっちゃんも困ってるかもしれないが、正直なところ、俺も困ってしまった。
確かに以前は、まだ少女だったなっちゃんを突き放すようなことばかり敢えて言ってた。
でも、今はすっかり大人の女なんだし、言葉を選ぶ必要もないと思ってたんだが……純粋培養のお嬢さまには刺激が強いのだろうか。
てか!
やっぱり、なっちゃん、期間限定のつもりなんだ。
……なんか……おもしろくないな。
言葉がダメだというなら、身体に刻み込んでやろう。
俺から離れられないように。
……35歳のおっさんのくせに、俺は年甲斐もなく、毎晩なっちゃんと戯れた。
毎日が充実して、楽しかった。
美味しい食事、気持ちいいセックス、なっちゃんの笑顔。
これがずっと続くなら、結婚も悪くない。
そんな風に思い始めるぐらい、俺はこの生活が気に入っていた。