カフェ・ブレイク
……せめてベッドですればよかった…… 体がくたくたに疲れたら、そのまま眠りに落ちることもできただろうに。
俺はどこまで間抜けなんだ。
乱れた衣服や髪を整えてやることもせず、放り出すようになっちゃんを立ち上がらせた。
なっちゃんは、何となくボーっとしてるようだった。
てか、よろけて、尻もちをついてしまった。
「大丈夫?」
さすがに驚いて、なっちゃんの手と腰をホールドして支えた。
「……大丈夫じゃないかも……びっくりした。激しすぎて……すごいですね。」
なっちゃんは頬を紅潮させてそう言った。
全く嫌がってないなっちゃんに、俺は苦笑した。
この子は本当に……。
「敵わないな。」
口の中だけで小さくつぶやいた。
聞き取れなくて不思議そうななっちゃんを見てると、自然と笑顔になれた。
「ごめんな。こんなとこで。……帰ろうか?」
まだクタッとしてるなっちゃんの手を取って、ゆっくりと帰路に就いた。
途中で、常連さんに見られてしまったけど、意味ありげな笑顔で会釈された。
……またからかわれそうだな。
まあ、いいか。
その夜は、なるほど、酒のつまみになりそうなものが並んでいた。
「今日はご飯は炊いてません。明日の朝はしじみ汁を準備してますので、今夜は安心して、いっぱい飲んでいいですよー。」
「ありがと。でも、あさりの酒蒸しを、麦焼酎と合わせるのは、微妙。」
ついそう指摘してしまったけれど、なっちゃんは全く気にしてなかった。
「麦焼酎は万能ですから。」
……まあ、旨いよ、うん。
「何かあったんですか?」
だいぶ酔いが回って、もう酒も肴も減らなくなってから、なっちゃんがそう聞いてきた。
「……いや。別に。」
まだ理性が残ってた俺は返事をしなかった。
「ふぅん……。」
なっちゃんはその場は引きさがったけど、またしばらくしてから質問してきた。
「今日、誰か来られたんですか?」
「うん?いつもの常連さん、たまに来られるお客さま、……連休だからか新規のお客さまも来られてたよ。あと、頼之くん……」
どうしても、真澄さんの名前を挙げることができなかった。
ずるいな、俺。
でも、また、なっちゃんが目くじらを立てて、真澄さんを非難したら……今度こそ許せないだろう。
「また?もしかして、これからしょっちゅう?……お父さんに会いたいのかしら。」
なっちゃんが、眉をひそめた。
「そりゃ会いたいだろ。てか、玲子によけいなこと言うなよ。子供に罪はないんだから。」
「……それはわかりますけど……。」
やれやれ。
まあ、頼之くんと小門は来店の時間帯が全然違うから、実際に遭遇することはないかもしれない。
俺はどこまで間抜けなんだ。
乱れた衣服や髪を整えてやることもせず、放り出すようになっちゃんを立ち上がらせた。
なっちゃんは、何となくボーっとしてるようだった。
てか、よろけて、尻もちをついてしまった。
「大丈夫?」
さすがに驚いて、なっちゃんの手と腰をホールドして支えた。
「……大丈夫じゃないかも……びっくりした。激しすぎて……すごいですね。」
なっちゃんは頬を紅潮させてそう言った。
全く嫌がってないなっちゃんに、俺は苦笑した。
この子は本当に……。
「敵わないな。」
口の中だけで小さくつぶやいた。
聞き取れなくて不思議そうななっちゃんを見てると、自然と笑顔になれた。
「ごめんな。こんなとこで。……帰ろうか?」
まだクタッとしてるなっちゃんの手を取って、ゆっくりと帰路に就いた。
途中で、常連さんに見られてしまったけど、意味ありげな笑顔で会釈された。
……またからかわれそうだな。
まあ、いいか。
その夜は、なるほど、酒のつまみになりそうなものが並んでいた。
「今日はご飯は炊いてません。明日の朝はしじみ汁を準備してますので、今夜は安心して、いっぱい飲んでいいですよー。」
「ありがと。でも、あさりの酒蒸しを、麦焼酎と合わせるのは、微妙。」
ついそう指摘してしまったけれど、なっちゃんは全く気にしてなかった。
「麦焼酎は万能ですから。」
……まあ、旨いよ、うん。
「何かあったんですか?」
だいぶ酔いが回って、もう酒も肴も減らなくなってから、なっちゃんがそう聞いてきた。
「……いや。別に。」
まだ理性が残ってた俺は返事をしなかった。
「ふぅん……。」
なっちゃんはその場は引きさがったけど、またしばらくしてから質問してきた。
「今日、誰か来られたんですか?」
「うん?いつもの常連さん、たまに来られるお客さま、……連休だからか新規のお客さまも来られてたよ。あと、頼之くん……」
どうしても、真澄さんの名前を挙げることができなかった。
ずるいな、俺。
でも、また、なっちゃんが目くじらを立てて、真澄さんを非難したら……今度こそ許せないだろう。
「また?もしかして、これからしょっちゅう?……お父さんに会いたいのかしら。」
なっちゃんが、眉をひそめた。
「そりゃ会いたいだろ。てか、玲子によけいなこと言うなよ。子供に罪はないんだから。」
「……それはわかりますけど……。」
やれやれ。
まあ、頼之くんと小門は来店の時間帯が全然違うから、実際に遭遇することはないかもしれない。