恋より先に愛を知る
「あ。なあ、11月1日、
ライブあんだけど行かねえ?」
【ライブ?】
カイトは思いだしたようにそう言うと、
ケータイをいじり始めた。
「そ。クラスのやつがバンド組んでてさ。
その日ライブだから人誘って来いって
言われてんだよな。一緒行かねえ?」
11月1日。
その日は・・・。
【その日はパス。行くところがあるから】
「行くとこだぁ?どこだよ、それ。
じゃあ俺もそこ行くわ」
【はあ?東京ですから。
付いて来られても迷惑】
「東京ってなんで?遠いじゃん」
カイトが顔をしかめた。
【行かなきゃいけないの】
「なんのために?」
なんのために?
決まってるじゃない。
【自分のために】
カイトがその文字を見てしばらく黙り込むと、
ふっと一息ついて私を見た。
「お前、1人で行くんか?」
私が頷くと、
カイトは考え込むように腕組みをした。