恋より先に愛を知る



駅の方へ歩いて行くと、
人はだんだんとその数を増す。


バス乗り場も改札前も、
ほとんどが学生だけれど人が沢山。


特に制服をだぼっと着崩している
男子高生なんかは好きじゃない。


男は一匹狼ってよくいうのに、
あいつらは群れを成してバカなことばっかりやらかすのよ。


ある意味女の子よりも、群れるのが大好き。


女子は女子で、ドロドロしてるから嫌なんだけど。





「ねぇ、誰か待ってんの?」


ベンチに腰をおろして休憩していたら、男の声がした。


男か女か。
それさえ認識してしまえばあとは簡単。


男なら無視。
女ならとりあえず顔をあげてにっこり。


今のは明らかに男だから、完全無視に限る。


遠くを見据えて聞こえていないかのように振舞う私に、
声をかけた男は私の隣に無遠慮に座ってきた。


間も空けずに、肩と肩とが触れ合うほどに。


「ねぇ、どこのガッコ?」


その問いかけに男の足元を見ると、
この辺にある男子校の制服が見えた。


・・・こいつ、高校生じゃないの。


こんな質問したっていうことは、
私、高校生と間違われてる!?


ふいに顔を覗き込まれて、
私は咄嗟に男を睨みつけた。


「そんな怖い顔しないでよ。ね、ガッコは?
 私服ってことはあれか。山の上のS校?」


・・・ああもう。


誤解を解くのも面倒くさい!


ちょっと疲れたから休憩しようと思ったのに、
これじゃあますます疲れる一方だわ。


私は無言で立ち上がり、
改札を通り抜けて電車の中へ逃げた。




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