恋より先に愛を知る
じっちゃんと海斗が向かい合って
お互いに驚いた顔をしていた。
その横で、
私も同じく驚いた顔をして立ちつくす。
えーっと、つまり海斗はじっちゃんの孫で、
じっちゃんは海斗のおじいさん?
なんて偶然。
やっぱりこの町は狭すぎるよ。
私に関わる2人が血縁関係にあるなんて、
誰が予想できる?
じっちゃんは最初こそ驚いた顔をしていたけど、
しばらくして大きく笑い出した。
「そうか。あんたの話に出て来ていた
“しつこい高校生”ってのは海斗のことか」
「はあ?あかね、何話してんだよ」
【本当のことでしょ】
「海斗。お前の言ってた気になる女の子って、
この子のことか」
「ばか!それは俺との秘密って言っただろー!?」
「何が秘密か。この子の話を聞いとると
お前が好きだっていうことくらいバレバレだろ」
「好きなんて言ってねえよ!
気になるって言っただけだ!」
「どっちだって一緒だ」
「一緒じゃねえ!!」
2人のやり取りを聞いていると、
急におかしくなって、私は笑ってしまった。
やっぱり家族なんだね。
そっくりだ。
海斗から時折感じられた安心感は、
じっちゃんのものだったんだ。
それからしばらく、
私はいつものようにじっちゃんと階段に座って話をした。
その間、階段の下では海斗がハルさんとじゃれ合っていて、
たまにこっちを気にしているように見あげると、
私と目が合っては逸らすの繰り返しだった。