恋より先に愛を知る
それを見た海斗が、
私の頬を乱暴につねる。
不思議と痛くはなくて、
私は海斗を見あげた。
「ちょっと、離して」
触られてる不快感から、海斗を睨みつける。
海斗は手を離すことなく、口を開いた。
「やっぱさ、笑ってる時がすっげえ可愛い」
「はあ?」
「・・・好きだ」
海斗の真剣な目を見て、言葉を失った。
なに?
今、なんて言ったの?
「え・・・」
静寂が私たちを襲う。
つねられた頬がピリピリと熱を帯びる。
海斗の手が緩むと、その熱はさらに増していった。
離した手を引っ込めて、
それからまた、海斗の手が私へと伸びる。
海斗の体温を近くに感じて、
思わず目をきゅっと閉じて身体を強張らせた。
「・・・いったあああ!!」
目を閉じていたせいで、何が起きたかわからない。
ただ、おでこに激痛が走ったこと以外は。
目を開けて涙目で海斗を見ると、
海斗は大きく笑い出した。