恋より先に愛を知る
「葵、死んだんだ。
俺のせいだって思った。俺が突き放してなかったら、
きっと葵は今も頑張って生きていられたはずなのにって思った」
「海斗、違うよそれは・・・」
「お前の好きなやつ。そいつも馬鹿だよなあ。
俺とおんなじじゃねえか。そいつも絶対後悔するぜ。
本当に、俺はガキだった。
何が幸せにだよ。何が本気だよ。
中途半端で、一つも本気じゃねえよ。
死んじまったら幸せも何もねえじゃんかよ」
海斗の声が、震え出した。
そっぽを向く海斗だけれど、泣いてるんだってわかった。
「会いてえなあ。
会ってごめん、って言いてえなあ。
今度こそ離れねえからって言いてえなあ。
俺が幸せにしてやりたかったなあ・・・」
悲痛な、海斗の本音。
もう2度と、戻れない恋。
葵ちゃんが戻ることは、もうない。
海斗の思いはこの先一生、宙に浮いたまんまだ。
海斗は涙を拭って、鼻をすすると口を開いた。
「葵と似てんだよな。お前。目が似てる。
助けてって叫んでるような目をしてるのに、
絶対助けて、なんて言わない。
黙って、隠して、1人で抱え込んでるとことかさ。
さっきのお前があの時の葵と重なった。
だからかな。心配になるのは」
「ごめん・・・」
「なんで謝んだよ。ごめんは、
なんか悪いことした時しか使っちゃいけないんだぞ?」
「うん・・」
「お前はさ、死ぬなよ」
「え?」
「さっき携帯で調べた。そういう人もいるって書いてあって、
怖くなってさ」
すぐに調べるところ、あの人にそっくり・・・。
どこまであんたは、似てしまうの?
葵ちゃんに私が似ているように、
海斗もあの人に似ているの。
本人を見ているようで辛い。
本人を見ているようで、切なくなる。