恋より先に愛を知る
風の強い夜だった。
大好きな音楽を聴きながら、
階段に腰を下ろして空を見あげる。
朝に見あげた空とはまるで違う、冬の夜空。
白い息が宙を舞って上がっていく。
この白い息が、雪に変わるの。
雪を願う人たちの白い息が、
人を好きだという思いが、
この町に雪を降らせる。
「雪、降ったかな・・・」
また、ぽつりとつぶやく。
1年前の今日、
彼にあげた、小さなスノードーム。
雪の少ない街と、
雪の降る町で育った私たち。
そんな彼に、
沢山の白くて綺麗な、雪たちを・・・。
彼は覚えているのかな?
もう、そんなものなくなってしまったのかな?
それでも私は、
今日もあの人のもとへ雪を降らせる。
私の、彼を想う気持ちが、
白い雪へと変わる瞬間。
そうして私は、今日も歌うの。
彼との思いでの詰まった、あの歌を。
私がくじけてしまわないように。
彼が、今日も幸せであるように。
そう願いを込めて。