鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
取り敢えず両方開けて、中身を確認してみよう。

放課後、屋上まで来てください。
校舎裏で、来るまで待っています。

どちらも呼び出しだった。

待ってるんなら行かないと。
ずっと待たせてたら悪いもんね。

あ、でも2ヶ所同時にはいけないなぁ。
どっちから行けばいいんだろ。

「ほー。呼び出し」

どうしたら良いか考えていると、手の中にあった手紙が突然消えた。

「あ、瀬田」

いつの間にか後ろに立っていた瀬田が、手紙をしげしげと読んでいる。

「ダメだよ?
人宛の手紙、勝手に読んだら」

取り戻そうとするも、背の高い瀬田に腕を挙げられると、背の低いあたしでは届かない。
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