鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
2年生・夏

2日で切れるの……?(中川)

「美空ぁ……」

月曜日の朝。立花さんが教室に入ってくると、机に突っ伏していた瀬田君が顔を上げた。
いつもの強気な顔ではなくて、珍しく目じりを下げて、しょんぼりとした顔。

「どうしたの、瀬田。
そんながっくりして」

立花さんは小首をかしげながらカバンを机に置いて、隣の瀬田君の様子を伺った。

「俺……」

「ちょっと、本当に大丈夫?」

具合悪いの? と、心配そうに、瀬田君に手を伸ばす立花さん。
その小さな手が肩に届きそうなところで、逆に手を掴まれた。

「美空が足りなくて倒れるかと思った!」

「え?」
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