鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「もぅっ! 瀬田のせいで時間ぎりぎりじゃんっ!
次の授業始まっちゃう!」

「おいおい美空。
お前鈍いんだから走ったら転ぶぞって……! おいっ!」

「わっ?!」

時間を気にして転がるように教室に駆けてきた立花さんは、やっぱりこけた。
そんな彼女を慌てて後ろから抱きしめるように受け止めて、瀬田君は苦笑いを浮かべる。

「言ってる傍からお前は。
危なっかしいな」

よしよし、と頭を撫でられて、立花さんは顔を上げた。
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