鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「……美空にメイド服着せるつもりだろ?」

その途端、クラスがしんと静まり返ってしまった。
と、思ったらざわざわと大騒ぎだ。

「そりゃぁそうでしょ、立花ちゃんがメイド服着てこその、お客数アップじゃん!
去年だって立花ちゃんが大活躍だったし!」

「そりゃあ、立花さんがメイド服で教室前に立っていてくれたらすんごい集客だよね」

「去年のノリ、再び!」

クラスメイトは居眠りをする立花を見つめ、口々に言う。

「いやいや皆、無理。
特に高橋。
去年と言い今年と言い、俺の美空の露出を増やしやがって。
俺だけの可愛い美空でいてほしいんだって。
本当は文化祭で目立たせたくないんだっての!」
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