鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「お、それなら賛成」

高橋の言葉に、瀬田は手を上げた。
ちなみに居眠り中の立花の左手も。
これがいつもの光景になりつつある現状はどうなのか、とも思えるけれど、もういいか。
瀬田と立花だし。

「はい、全員賛成でメイド執事喫茶ね」

右手で頬ずえをつき、左手を瀬田に握られている不思議な光景の二人を、クラスメイトたちはくすくすと笑いながら眺めていた。

「……ん? あ、あれ?……?」

ふと、立花がゆっくりと目を開けて、キョロキョロと周囲を見渡し、挙げられた左手をぼけっと見つめた。

「……?」

「今年の文化祭はメイド喫茶なんだって。
賛成の挙手」

「あれ? うん?」

ホームルーム中だとか、いつの間に寝ていたのかとか、今の状況はなんだとか、色んなことが寝ぼけている立花いはよくわかっていないのだろう。
きょとんと不思議そうな顔をしている。
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