鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
と言うか美空、今晩はおばさんがいなくて一人なのね。
ああ、怖がりな美空のことだ。
きっと一人の夜が不安で、これだけ必死にわたしを誘っていたのね。

わたしの言葉に、美空はほっと胸をなで下ろして、それから嬉しそうに頷いた。

「楽しみだね、ありさ!」

「そうねって、あ……」

にこにこと笑う目の前の親友の後ろに気がついて、わたしの口からつい声が漏れた。

「ほ~ぅ、美空?
何故に突然教室抜け出して、しかも俺との放課後デートを断って、鈴木とお泊まり会の相談かなぁ……?」

出た、瀬田君!
変態美空大好き男が出た!
こいつ、いつからいたんだろう……?
相変わらず気配を消すのがうまいわね、今の今まで気づかなかったわ。
って、それって高校生男子として必要な特技なの?
忍者かスパイにでもなりたいの?
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