鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「や、瀬田楽しそうにお喋りしてたし、声かけるのも、ねぇ?
久しぶりにありさとも遊びたかったし」

ね? と可愛らしく小首を傾げる美空。
瀬田君はやっぱ可愛い、と言いながら、さっきまでの少し不機嫌そうな表情はどこへやったのか、一瞬で破顔して美空の頭を撫で回している。
ちらりと見やると周囲の男子は、それを羨ましそうに眺めている。

「今日おばさんいなくて家に一人だから不安なんだろ?
それで鈴木を懸命に誘ってたんだろ?
言ってくれれば俺が泊まりに行くのに……」

どうして鈴木だ 俺にしとけ、と、さっきしまったはずの不機嫌そうな顔を再度さらしている溺愛男。

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