鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「え、や、無理無理、瀬田と一日中一緒なんて……!
どんな目に合わされるのか……。
てか、普通に考えてみて?
嫁入り前の娘が一人でお留守番の家に、彼氏だとしても泊まろうとか、思わないでよねっ!」

おかしいよ、もぅっ! と頬を膨らませる親友を目の前に、わたしはうんうん、と頷いた。
美空一人の家に瀬田君、なんて、危なっかしくて仕方がない。

「瀬田君、美空の言うとおりよ。
今日は美空はわたしとお泊まり会。邪魔しないでね」

わたしはふんっと勝ち誇ったように鼻で笑ってみせた。
いつもいつも、溺愛男は美空を独占しすぎている。
一日くらい我慢しなさい。今日はわたしが美空を独占するわね。
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