鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「くっそ、鈴木め……」

「うっさい溺愛男」

「あ、チャイムなりそうだね。
じゃあありさ、放課後ね!」

美空はにこやかに手を振って、瀬田君はちらっとこちらに冷たい視線を寄越して去っていった。

「美空も瀬田君も、嵐のようだったわね、っと!」

わたしはばしん、と柔道部男子の肩を思いっきり叩いた。

「鈴木、なぜ叩く……?」

「なんとなく?」

それだけ鍛えておいて、わたしに叩かれたところで痛くもなんともないだろうに。
柔道部男子はわたしが叩いた個所をさすりながら、しかも痛そうに苦笑いを浮かべながら席へと戻っていった。

「なにアピールなのよ、絶対痛くないくせに」

くすくす笑っていると、席に着いた柔道部男子がちらりとこちらを向いて笑い、片手を挙げて合図をした。
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