鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「案外お茶目ね、あいつ。
しかもなかなか芸が細かいわ。
柔道だけじゃなくて、演劇もすると伸びるんじゃないの?」

わたしも片手を挙げて合図をした後、席に戻った。

「なぁ鈴木さん、どうしてそんなに強いんだ?」

前の席の黄原君が振り向いて面白いものを見つけた少年のようなワクワク顔で聞いてきた。

「わたしなにか強い?
か弱い普通の一般的女子だけど」

わたしが尋ねると、きっぱりと黄原君は言った。

「メンタル強い。鉄の心臓」

「ふふ、黄原君。
心臓握りつぶされたいの?」

「……。
やっぱ怖いわ」

わたしはいつも通りにクラスメイトと楽しく会話をして、珍しく親友の訪問を受けて。
今日はその親友と楽しく放課後を過ごす。
わたしの学生生活、なかなか充実していると思う。

わたしはふふっと笑って、瀬田君、今日のお泊り会の邪魔しに来たらどうやって退治してやろうか、なんてことを考えながら次の授業の支度を始めた。
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