鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
とは言っても、どこに行ったんだ? 美空のやつ……。
美空の実家にも、実家の喫茶店にも、行きそうな場所にも色々寄った。
が、美空の目撃情報は得られなかった。

さすがに疲れて駅前の広場のベンチに腰を降ろして一息つく。
さっき買った缶コーヒーを飲みながら周囲を見渡していると、何かのキャンペーンなのか、たこが子供に風船を配っている姿が目に映った。

どうやらあのたこは子供に人気の様子だ。
子供に囲まれて、なんとなくだがたこも嬉しそうだ。

ピンクで丸いフォルムに、つぶらな黒い瞳。
口元は可愛らしく突き出していて、二頭身のいかにもご当地キャラって感じだ。
えぇっと、こないだテレビで観たけど……名前、なんだっけ……?

何となくたこを眺めながら名前を思い出そうと思考を巡らせていると、たこの隣に見知った顔を発見した。
< 157 / 229 >

この作品をシェア

pagetop