鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「あ、美空発見の重大ヒント発見」

「よぉ鈴木」

「あ、あぁら瀬田君、奇遇ね~!」

いつも冷静で図太い鈴木にしては、少し慌てた様子だ。
しかも鈴木の隣のたこが、何故だかそぅっ逃げようとしているように見える。
ほほぅ……。

「なぁ鈴木、美空知らない?」

「え? 知らない……わよ?」

しらばっくれているつもりらしいが、白々しい態度をとる鈴木に俺は確信を得た。
たこ、後ずさってるし。
こいつら嘘つくの下手だな。

「最近さ~、美空が放課後俺を避けてさっさと帰るんだよね~。
ね、どうしてだか知らない?」

「知るわけないじゃない。
さすがにウザイ愛情表現に愛想つかされたんじゃない?」

鈴木はふふん、と笑っているも、目が泳いでいる。
俺はたこを捕まえた。
二頭身の大きな着ぐるみは、両手でがっしりと掴んでもまだ腕が足りないくらいに丸かった。
が、どうにか動きを封じた。
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