鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
あたしが黙り込んで首を傾げたのが不思議だったのか、立花さんはきょとんとこちらを見上げた。
小柄な立花さんと女子にしては背の高いあたし。
自然とそういう構図になってしまう。

女子のあたしから見ても、そんな立花さんの仕草はかわいくって仕方がない。
さっき刺さるほどの視線を送ってきた男子の気持ちが少しわかる気がした。

「いや? 今日は瀬田君いないんだなぁって」

「ああ、瀬田?
そろそろ来るかも? だよ?」

瀬田に用事? とやっぱりきょとんと答える立花さん。

「そろそろ……?」

「うん。最近ね、大体この辺でよく会うんだよねぇ。
約束してるわけじゃないんだけど、時間と通学路が合うのかな?」
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