鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「……? どうしました?」

黙りこくったまま悶える俺を不思議そうに見つめながら、美空ちゃんは小首を傾げた。
……超絶可愛いなぁっ! もうっ!

「あれ? 先輩?
こんちわ~。何してるんですか?」

さっきまでいなかった瀬田が現れ、俺に声をかけつつ、彼女の肩を抱き寄せた。
だからその容赦ないイチャイチャ、人前で恥ずかしくないのかって。
ま、聞いたところで無駄か。
彼女溺愛瀬田のことだし。

二人は階段を上って俺の元へやってきた。
瀬田の手にはブラックコーヒーとカフェオレ。
ああ、飲み物買いに行ってたから、さっきまでいなかったのか。

「ああ、今日仕事休みでさ。
予約してあったゲームソフト買いに行こうかと歩いてたら、美空ちゃん見つけて。
とりあえず挨拶でもしようかなぁと声かけたとこ」

俺がそう言ったところで、瀬田が怪訝そうな顔をした。
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