鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「俺以外の男に触れられるんじゃない、分かった?」

「え? うん?」

分かっているのか分かっていないのか。
美空はとりあえず、といった風に返事をした。

俺がこんなに恋い焦がれてるのに。
触られたことにこんなに嫉妬してるのに。
自分だけの美空であって欲しいのに。
この気持ちに全く気づいてはくれない。

「鈍感美空」

「もうっ毎日鈍感鈍感って!
失礼じゃない?」

「だって、実際鈍感だし」

もぅ、っと頬を膨らませるけど、この顔の近さ、気づいてる?
……気づいてないよなぁ……。

恥ずかしがりのくせに鈍感だから、意識するまで気づきはしない。
本当に危なっかしやつ。
< 20 / 229 >

この作品をシェア

pagetop