鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
それにしてもやっぱり分かっていない。
俺がどれだけ美空を独り占めしたいのか。
美空自身も、美空の作ったものも何もかも。
俺だけのものであって欲しいのに。

「わかってないなぁ……」

「……?
お団子の作り方はわかってるよ?
実際作ったし、
あ、みたらしじゃなくてよもぎとかあんことかが良かった?
じゃあ、夜はそれも作ろうか?」

「それはそれで美味しそうだけど、違うって」

きなこも出来るよ?
美空は笑っている。

はぁ……。
この鈍感娘。

「今夜、楽しみだね?
今は晴れてるけど、夜も晴れるかな?」

瀬田とお月見初めてだぁ、と笑顔の美空に、さっきまでのやきもきした気持ちがどうでも良くなってしまう。
可愛いなぁ、今日も俺の美空は。

「そうだな、きっと晴れるさ」


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