鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「今年は……。
お、俺と副委員長でも良いか?」

良いと思うなら、挙手。
いつもの委員長の言葉に、クラスメイトはぞくぞくと手をあげた。
ただ、一人を覗いて。

「……。
俺が相手じゃ、無理か……?」

副委員長だ。
おどおどして、落として拾ったチョークを握り締めたまま、固まっていた。

「い、いえ、違います!
まさか選ばれるなんて思ってなくて……!」

わたし、可愛くないし……。
委員長と一緒にカップルコンテストなんて……。
と、小さくつぶやきながら彼女は不安そうに委員長を見つめている。

「大丈夫、副委員長は可愛いよっ!」

「あたしがお化粧してあげる!」

「あ、じゃあわたしは髪を巻いてあげるねっ!」
< 206 / 229 >

この作品をシェア

pagetop