鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「瀬田君のバカ野郎。
ああ美空、そこ動かないで。
わたしがカバンとってきてあげる」

あんたが行ったら襲われかねない、とか何とか言いながら。
鈴木さんは、いつも通りずかずかと我がクラスに足を踏み入れ、立花の席に掛けてあったカバンを取って出て行った。

「じゃあね、瀬田君。
今日は一人で反省して泣きなさい。
全く、おバカもほどほどにしなさいよ?」

「べー!」

教室の入口で、瀬田に生ぬるい視線を送る鈴木さんと、思いっきり舌をだす立花。
瀬田は、ぽかんとしていた。
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