鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「こら、そこのバカップル。
授業中だぞー」

先生の茶化す声と、クラスメイトの笑う声が聞こえる。
あたしはぼぅっとする頭を振って、顔を隣の瀬田から前に向けた。

「バカップルじゃ……」

小さな声で、とりあえず言い返そうとしたところで、髪をくしゃくしゃにされた。
くらりと頭が揺れる。

もう、いつも言ってるのに。
髪の毛セットしてるんだから、崩さないでって。

「バカップルはまあいいや。
俺はそれで良いし。
それより美空、お前、熱あるな?」
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