鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
クラス中からも、声が上がる。
女子のきゃぁって歓声だったり、男子のおぉって声だったり。

「瀬田、あたし、歩ける……」

「あ、ますます赤い。
熱上がった? 早く保健室いかないと。
じっとしてて」

鈍い上におバカだな、夏風邪なんて……。
瀬田はぶつぶつ言いながらも、嫌な顔一つしなかった。

意地悪なのか優しいのか、分かんないよ。

「ご、ごめんね……?」

授業中なのに、あたしを運ぶために授業受けれなくなっちゃうのに。
ただ隣の席ってだけで、保険係でもないのに。

「ん? 謝ること、一つもないから」

瀬田はあたしを抱き直して、教室を出た。
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