鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
何故か差し出されたのは、飲みかけのお茶。
どうしてあたしに?

「え、いいよ、飲みかけだし、恥ずかしいもん。
それに、教室戻ったら自分のドリンクあるし」

自分で飲みなよ~、と、笑って手を振る。
けど、どうしたことか、そうだね、とはならなかった。

「恥ずかしいって。
瀬田のは飲むじゃん」

ぐいっとお茶を、さっきよりも目の前に差し出されてしまった。

言われてみれば確かに。
食べ物も飲み物も、瀬田となら分け合える。
あれ?
いつからあたしと瀬田はそれが平気で、最近は普通になったんだろう。
考えてみたら、不思議。
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