鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「瀬田はいいの。
慣れたのかな?」

首をかしげて考えながら、わたしは多分そうなのかな?
と思ったことを言ってみた。

「じゃあ、慣れたら俺も、いい?」

う~ん?
慣れれば誰でもいいってわけでもないような気がするなぁ……。
あれ? じゃあ尚更どうして、瀬田ならいいんだろ?
返事に困ってまた考え込んでいると、後ろからぎゅっと抱きしめられてしまった。

「ん?」

「ダメ」

あ、瀬田の声。

「俺以外はダメ。
美空、喉乾いてるんなら、飲め」

瀬田はあたしを抱きしめたまま、ブラックコーヒーを口に流し込んできた。
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