鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「瀬田君?
ちょっと愛情表現が、見ていて恥ずかしい、かな?
教室でそのいたずらは、ちょっと……」

わたしはおずおずと、取り敢えず注意してみた。
と言うか、これってハロウィンのいたずら、なの?

「いいじゃん、折角美空とカップルになれたんだし、俺、嬉しくて」

本当に嬉しそうに笑う瀬田君に、もう何も言えなくなってしまって、

「じゃあ、チャイムなりそうだから、いくね?」

と立花さんに合図をして、わたしは自分の席に戻ることにした。

「あ、うん、またね?」

立花さんは瀬田君に抱きしめられたまま、わたしに返事をした。

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