鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「おー、青葉と桃瀬か」

瀬田君は、彼女を抱きしめる腕を緩めることなくこちらを見やった。

「あ、2人とも……。
ちょっと瀬田がしつこいの。
あたし教室に戻りたいのに。
助けて?」

立花さんは、瀬田君の腕の中から、本当に困ったように助けを求めている。
まぁでもこれはもう仕方ないっていうか……。

「いや……。
いつも通りだなぁって感じで……。
なぁ、愛ちゃん」

「あ、うん、そうだね。
助けるも何もって感じ?
あ、次の授業の時間までには教室に戻るようにね?」

あたしと愛ちゃんは顔を見合わせて、その後2人を眺めた。
うん、いつもどおりだ。

「え……」

「ほら美空、2人もそう言ってるから」
< 47 / 229 >

この作品をシェア

pagetop