鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「や、助けたご褒美?
だから、ね? もうちょっと」

「え、なに……?
ちょっと……!」

あたふたする美空と嬉しそうな瀬田君に近づく。

「ほら瀬田君、入学早々何やってんのよ。
早く離してあげて? 目立ってるわよ?」

「おー鈴木おはよう。
入学おめでとう」

振り向いてわたしを確認するも、しれっと挨拶をされた。
腕に美空を収めたまま。

「はいはいおはよ、お互いおめでたいわね。
それより美空を離してって」

瀬田君は、美空に睨まれて渋々腕を解放した。

「助けてくれたのはありがとうだけど、どうして抱きしめるのよ!」

恥ずかしいじゃない、と美空はぷくっと頬を膨らませた。


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