鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「好きなんだけど!」

わ、やっぱり告白だった。

思い切ったなぁ、あの先輩。
瀬田が立花ちゃん溺愛なの、滅茶苦茶有名なのに。

しかも廊下の真ん中で。

「俺、愛する彼女がいるんで。
先輩の気持ちには答えられません」

やっぱりと言うか何と言うか。
間髪を入れず、そう言い放つ瀬田。

「瀬田らしいな。秒殺だ」

委員長は俺の口から手を離して、呟いた。

「あ、あぁ」

じゃあ、と歩きだそうとする瀬田を、先輩は再度呼び止めた。

「ま、待って!
瀬田君に彼女がいるの、知ってるよ?
こないだの文化祭でいちゃついてたし……。

でも、諦めきれないの。
わたし、瀬田君を春に入学式で見かけてから、ずっと好きなんだよ?

だから1パーセントでも可能性があるなら、頑張るから、だから……!」
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