鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「ないです、1パーセントも」

先輩の言葉を、瀬田がきっぱりとした口調で遮った。

あんな言い方しなくても、と一瞬思ったけど、変に優しくするより良いのかも知れない。
なんて、告白なんてされたことのない俺が思うのもなんだけど。

「わかんないでしょ、先のことなんて!
わたしがアピールし続けたら、瀬田君だって揺らぐかも知れないじゃない?
心変わりとかあるかもだし!」

なおも食い下がる先輩に、瀬田は首を左右に振って、口を開いた。
今度は何を言うつもりだろう。

「俺、美空への愛が100パーセントでも足りないくらいなんで。
先輩への気持ちは0パーセントもないんで」

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