鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「せ、瀬田君と立花さんって、どこまでいったの……?」

「何で知ってるの……?
冬休み、行ったよ? 瀬田と温泉旅行」

あれ? 桃瀬さんに言ったっけ?
と、美空は首をかしげている。
美空、その質問にその答えは、多分違うと思うんだ……。
多分って言うか、絶対違うと思うんだ……。

今日も相変わらず天然でおとぼけな美空に、思わずため息が漏れる。

「や、そうじゃなくてね?
どこまで進んだのかなぁって……」

一瞬驚いたような顔をした桃瀬が、どうにか持ち直して、でもやっぱり赤い顔でもじもじと違う形で質問をし始めた。

「進んだ……?」

ああ、と美空はぽんと手を打った。

「快速でちょっと遠くの温泉地まで行って、それからは宿のバスの送迎で……」
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