鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「んと……。怖く、なくなるよ……?」

どうしようか迷っていると、美空が話し出してしまった。
仕方ない、こうなったら最後まで聞くことにしよう。
俺は耳を済ませて美空の言葉を待った。
や、あくまで仕方なくだ、仕方なく。

「じゃあ、どんな気分……?」

桃瀬が自分の両手を胸の前で組みながら、恥ずかしいけど興味津々だ、と言った表情を浮かべて美空を見つめている。

「ふわふわ~……って感じ? かなぁ?
雲の上ふわふわ~?
海の中ふわふわ~……?

優しく包まれて、あったかいって感じ……?
一人じゃないんだって幸せな感じ……?

大事に優しくされたら、幸せ……」

……そんな風に思っていたのか……。

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