鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「そうか、今日はバレンタインだったな。
それにしても……1.2……3個?
さすがイケメンは違うな。
学校着いて靴箱開けて早々、チョコ3個ってね」

委員長笑い声を含む言葉にげんなりと振り向く。

「俺、美空のしか欲しくない。
どうして愛する彼女がいるって知ってて入れんの?
委員長、いる?」

「愛する彼女ってな、お前……。
普段からお前らは見ていて胸焼けするほど甘いけど、朝から堂々と言葉まで甘いな。チョコ以上だ。
ちなみに瀬田宛のチョコだ。俺はいらない」

高橋辺りなら喜んで貰いそうだけどな、と委員長は笑っている。

「どうするよ、これ」

「俺が知るか。
それより、そろそろ教室行かないとまずい時間だぞ」

「まぁ、こんなとこでつっ立ってても仕方ないしな」

俺と委員長は教室に向かって、喋りながら歩き出した。
チョコは取り敢えずカバンにしまっておいた。
はぁ、マジでどうしよう、これ……。

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