鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「は~い、ホームルーム始めますよ~」

前の席の長岡が何か言いかけたタイミングで、委員長の間延びした声がホームルームの開始を伝えた。
しゃーねぇ、後でな、と長岡は前に向き直した。
一見いかつくてちゃらそうなのに、しっかり者で結構真面目な長岡。
腕をくんで、ホームルームに真剣に参加しだした。

「で、机の中に何なんだ?
チョコでも入ってた?」

俺はホームルームが終わったタイミングで長岡に声をかけた。

「おお、よくわかったな」

「へぇ、長岡、良かったじゃん!」

他人事となると、何とも楽しい。
長岡には彼女がいなかったはず。
これを機に……なんてあるかもな。
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