鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
昼休みを使い、残りのチョコも返し終わった。
放課後あった二件の呼び出しも、チョコを受け取らずにどちらも断った。

「あれ? 美空は?」

「え? 一緒じゃなかったのか?」

「さっき教室を出てったよ?」

告白を断って教室に戻ってみれば、美空がいなくなっていた。
俺の言葉に、机を向かい合わせて何やら作業をしてい委員長と副委員長は、顔をあげて返事をしてくれた。
ホームルームから結構時間が経っていたことに、このとき始めて気がついた。

「あいつ、一人で帰りやがったのか……?」

俺をおいて……。
とぶつぶつ言っていると、くすくすと副委員長が笑っていた。

「さっき教室出たばっかりだから、きっとまだ間に合うよ?
一緒に帰りたいなら、ぶつぶつ言ってないで早く追いかけたらどうかな?」

まぁ、それもそうか。
俺は慌ててカバンを手にして、2人に合図をしてから教室を足早に去った。


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