鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「どうしたの?
あ、もしかして次、この部屋使うの?」

片付け手間取っちゃってごめんね、すぐ出るから、と謝りつつ、あたしは男子生徒の隣をすり抜けようとした。
って、あれ? 男子は家庭科しないよね?
他のクラスは違うのかな?

「そ、そうじゃなくて……!
立花先輩を見かけて、話し掛けるなら今だって思って……!」

「え? あたしに話し……?」

知らない男子生徒があたしに?
なんだろう?

あたしは取り敢えず彼の前に立ち止まって、何を言われるのか待ってみることにした。

「……先輩、瀬田先輩と付き合ってるんですよね?」

「うん? そうだけど……?」
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