鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
ホワイトデーの長岡(瀬田優斗)
お、長岡だ。
「お~い、長岡!」
たまたま前を通りかかった長岡に、俺はすかさず声をかけた。
一ヶ月前は俺の前の席だった長岡は、席替えをしたから今は席が遠い。
俺は今日、長岡に話し掛ける機会を伺っていた。
「長岡、これ!」
「あ? な、なんだぁ?」
俺の言葉に振り向いた長岡は、俺が放り投げた物を慌ててキャッチした。
そして、手の中に収まったそれと俺を交互に見比べては不思議そうな、困惑した表情を浮かべた。
「ホワイトデーだから」
「あぁ?
なんでお前が俺に……?」
わっかんねぇ、と、手元のコロッケバーガーを見つめる長岡。
「ホワイトデーだから」
俺はにやりと、もう一度同じことを言ってみた。
「だから、ホワイトデーだから、が、わかんねぇって言ってんだろうよ」
隣の席の美空がくすくすと笑っている。
「お~い、長岡!」
たまたま前を通りかかった長岡に、俺はすかさず声をかけた。
一ヶ月前は俺の前の席だった長岡は、席替えをしたから今は席が遠い。
俺は今日、長岡に話し掛ける機会を伺っていた。
「長岡、これ!」
「あ? な、なんだぁ?」
俺の言葉に振り向いた長岡は、俺が放り投げた物を慌ててキャッチした。
そして、手の中に収まったそれと俺を交互に見比べては不思議そうな、困惑した表情を浮かべた。
「ホワイトデーだから」
「あぁ?
なんでお前が俺に……?」
わっかんねぇ、と、手元のコロッケバーガーを見つめる長岡。
「ホワイトデーだから」
俺はにやりと、もう一度同じことを言ってみた。
「だから、ホワイトデーだから、が、わかんねぇって言ってんだろうよ」
隣の席の美空がくすくすと笑っている。