鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
「長岡君、バレンタインに瀬田に友チョコあげてたじゃない。
お返しなんだよ、きっと」

「いやあれはっ……ぐっ……!」

にこにこ笑う美空の言葉に、言葉を返そうとした長岡。
俺は慌てて長岡の口元に手を伸ばした。

「長岡ぁ、ありがとうなぁ?
俺、お返しするって言ったよなぁ?」

すかさず口を塞いだ俺に、長岡は一ヶ月前を思い出したようで、こくこく頷いた。

「……そ、そうだった、な……」

塞がれた口を開放した途端、なぜ俺がこんなことに巻き込まれて……。
長岡はぶつぶつと俺をじとりと見ながら言っているが、まぁそこは無視だ。

背後で笑う声が聞こえる。
あれは、高橋と委員長だ。
また聞いてやがったな?

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