おきつね神社
次の日、洋介は何事もなかったように朝起きて、朝御飯を食べ、制服に着替え、
いつもと同じように学校へ向かった。
昨日の事は、夢だ。そうだ、昨日のことはただの夢でしかない。現実じゃない。そう思い込んだ。
しかし、
教室の戸を開けたら、そこには……
クラスメイト全員が無言で姿勢をただし、誰一人ことばを発せず着席していた。
ことばを発せるはずがない。
「……まじ……かよ」
ズリと後ずさる洋介の目に、クラス全員の顔が黄金色の狐の顔に映る。
二つの目は真っ白で目玉がない。
口は半開きになり、中から薄く赤が見え隠れしている。
教室全体が薄いクリーム色のススキで覆われていて、いつの間にかドアがなくなっていた。
いるはずのない達也だけが人間のままで座っていて、じっと洋介を視ている。