おきつね神社

「あ、た、た……達也、お、おまえなんでここに……」

口をぽかんと開いた達也はギギと軋む音を鳴らし、首をぎこちなく背の方へまわし、一周させた。

首には不自然にシワが寄り、今にも皮膚が切れそうだ。

その落ちくぼんだ目で洋介を捉え、

姿勢そのまま口の中から土をボタリ、ボタリと吐き出し始め、空いた目からも濡れた土がボトリと落ちた。

声にならない乾いた悲鳴を口の中で上げ、逃げようと後ろを振り返ったがそこにドアは無い。

そこにはさっきまで目の前にいたクラスメイトが同じようにきつねと化して自分を見ていた。

急いで振り返ったが、光景は全く変わらない。


「……ど、ど、どうなってててるんだ……よ」


達也の口からはとめどなく土が流れ、尽きることがない。

そのうちに鼻の穴からも土がだらだらと流れ出、ついぞ鼻がもげた。達也の顔が土で覆われた。

きつねに化わったクラスメイトはその白い目に洋介を捉え、口の周りを舐めはじめ、よだれを吸う。

一人が、タンと音を立て椅子を引き立ち上がったのを合図に、一人、また一人と席を立ち、洋介の方へと体を向けた。

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