おきつね神社

「ふ、ふざけんな。なんだよこれ、なんなんだよ。たたたた、達也、だっておまえは昨日……っ!」

反対を向いた足、不自然に折れた腕、指は数本手の甲に着くまで曲がり、付け根が裂けていた。

足をひきずる歩き方は昨夜の穴の中で見せた達也そのもの。

後ろへ後ずさりし、

「……く、るな」

首を振る。


両目と口から湿った土を垂れ流す達也はぎこちなく歩く度に頭に被っている土を足元に落とす。


きつねと化したクラスメイトたちは息を荒くし、肩で呼吸をしている。

口元からはよだれが垂れ流れ、キュンキュンと切なく鳴き始めた。


喰いたいんだ。


洋介はそれを五感で感じ取った。

目の前に迫る達也の顔は土だらけだ。

「……っ!」

腰を抜かししりもちをついた。

震える足を叩き、おしりを擦るように後ろのススキの方へ、ススキの中へ隠れようとした。
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