おきつね神社
世界が反転し、辺りが暗くなった。
手には芝の感覚。
顔には冷たい空気。
薄闇にクリーム色のススキがさやさやと揺れている。
空には星が輝き始めていた。
遠くには社。社の扉は開かれていた。
あの中にはスコップを隠している。くそっ、と思う洋介の背後に気配を感じ、尻をつけたまま顔だけで振り返った。
「!!!!」
闇と一体化した達也が不自然な立ち方で立っていて、後ろに折れ曲がっている手にはスコップを持っていた。
両目からは濡れた土が涙のように溢れている。
「た、たつ……ごめ、ごめん。俺……」
達也の頭上まで振り上げられたスコップは星の光と重なり銀色にシュと輝いた。
降り下ろされるその先は、自分だ。
右手を頭の上に上げ、ぎゅっと目をつぶったのと同時に四方から覆い被さってくる無数のモノを感じた。
胸をくすぐるような獣臭が鼻の奥に届いたのと同時に首もとに熱いものを感じた。